専門学校卒業後、ワイン卸の会社に就職し、料理人としてまずはサービスの基礎から学びました。高品質なワインを提供しており、五大シャトーをはじめ、オーパスワンなど名だたるワイナリーのスペシャルディナーのサービスという貴重な経験もしました。その後、同店の調理場に移りシェフのもとで調理およびデザートを修業。各セクションを担当、グループ各店に所属したのちに副料理長も任せてもらいました。
より深くフランス料理を追求したいという想いから、西麻布にある有名なオーナーシェフが経営するフレンチレストランに移ることに決めました。そのシェフとの出会いが、今の自分に大きな影響を与えました。仕事とは、料理とは、人として、そして一皿への想い。職人の世界は本当に大変で厳しい場面もたくさんありましたが、副料理長として常にシェフの傍らで日々料理をつくることは、何にも代えがたい充実感と成長を実感でき、2008年日本初上陸のミシュランガイドで一つ星を獲得したときは、心が震えました。
そして、妻の故郷である宇都宮へ拠点を移しホテル内のレストランのシェフを経て、2014年にノバレーゼと出会いました。最初の配属は、結婚式場「宇都宮モノリス」でした。入社直後は婚礼料理という新たなジャンルに苦戦しましたが、和食の技術も身に付き、新しい引き出しも増えていきました。
その後、結婚式場「郡山モノリス」の料理長として立ち上げを経験しました。集まったスタッフも他の店舗から異動してきたばかりでオペレーションや段取りを模索しながら決める日々。特にスタッフとのコミュニケーションには苦心しました。職人の世界を経験してきた私にとって、何をどのように伝えたらいいのか言葉がなかなか見つからず意思が伝わらないこともしばしばありました。まずは、自分が率先してやって見せることを繰り返し、少しずつ教えていくうちに1人、また1人と伝わるようになり2年が過ぎる頃にはスタッフの方から積極的にチームを引っ張ってくれるようになり本当に嬉しい気持ちになりました。
郡山モノリスで料理長になったとき、ひとつ決めたことがあります。それは「オープンキッチンのガラスは何があっても必ずピカピカに磨き上げる」ということです。新店なので今は綺麗なのは当たり前、でも5年後もそれを保てるかは今の自分たち次第、そう言ってどれだけ忙しくても必ず婚礼前には磨き上げました。店舗が目標を達成したときに新規接客のプランナーから言われた言葉があります。「いつも会場を綺麗に保ち、どんな時でもお客様をあたたかく迎えてくれる皆さんのおかげで、私は自信を持ってご案内ができます。」そう言われたときは、本当に目頭が熱くなりスタッフ皆で喜んだのを今でも覚えています。何かどんなに小さなことでもいいからこうと決めて貫き通すことは、自分が思ってもみなかった形で実を結ぶんだなと感じました。
現在は、宇都宮モノリスに戻り料理長を務めています。婚礼料理および宴会料理の調理統括、宴会のメニュー作成や店舗の数字管理、スタッフ育成、衛生管理など幅広く担当しております。この仕事のやりがいは、結婚式当日にゲストをお見送りしている際、「素敵な結婚式だった」「お料理がとても美味しかった」「サービスの方に宜しく伝えてくださいね」などスタッフへのたくさんの嬉しいお言葉をいただく瞬間です。そのたびに、良い結婚式はひとりでは作れず、スタッフやパートナーの方々の力があってこそ作れるものだということを実感します。
”一皿を100皿作る”
専門学校卒業後ワイン卸の会社に就職し、料理人としてまずはサービスの基礎を学び、その後グループ各店にて経験を積む。より深くフランス料理を追求したいと都内の有名なフレンチレストランに移り、オーナーシェフの傍ら副料理長を務める。2014年ノバレーゼに中途入社し、料理長として新店舗の立ち上げに抜擢される。現在は、結婚式場「宇都宮モノリス」の料理長として調理全般を統括しながら、北関東・東北エリア統括料理長として活躍している。