幼少期から母親が旅行や発表会でシーンに合わせた服を私に見繕ってくれることが多く、私にとって洋服はそのイベントの気分をさらに盛り上げてくれる大事なものでした。スタイリストを目指したのは、ある雑誌を見たときにそれまでの価値観がガラっと変わる経験をしたからです。私は背が小さいことがコンプレックスで、好きな洋服を雑誌のモデルのようにカッコよく着こなせないことがよくありました。あるとき、雑誌でコンプレックス別の似合うコーディネート特集を見たとき、「こんな風に好きな服を着ることができるんだ」と勇気を与えられ、自分もこのような仕事に関わり人を幸せにしたいとスタイリストを志すようになりました。
大学と服飾の専門学校のダブルスクールでファッションの基礎を学び、卒業後はスタイリストのアシスタントとして弟子入りし修業を積みました。約3年後、独立しファッションスタイリストとして約10年間、広告や雑誌、芸能界の仕事に携わってきました。フリーランスの仕事は、複数の案件を打ち合わせから衣裳選び、撮影準備、マネージメントまですべてひとりで完結しなくてはいけないため常に気を張り自分との戦いの日々でした。最初の頃は振り返る暇もなくがむしゃらに目の前の仕事をこなすことに必死で、とにかくクライアントの希望通りの衣裳を探す日々でした。そんなとき、あるクライアントに「もっと踏み込んだ提案をしてほしい」と言われ、どこまで踏み込んで良いか分からず保守的に仕事をしていた自分に気づきました。それからはクライアントとの距離を超えてプロジェクトの一員として自分の意見を積極的に提案するようになり、周りを巻き込みチームでひとつの良い作品を作る楽しさを知りました。クライアントからお客様の嬉しい感想を聞く機会が増えたことで、改めて今後の自分のキャリアを見つめ直したとき、今後は「お客様の顔を見てその人のためにできる仕事がしたい」という想いが強くなり転職を決意しました。
ノバレーゼとの出会いは自身の結婚がきっかけでした。当時新しい感覚のラインナップを揃えているノバレーゼのドレスに興味を持ち試着へ行ったところ、ドレスだけではなくベールや小物一つひとつのアイテムの美しさと、寄り添った丁寧な接客に家族まで喜んでくれるほど幸せな時間を過ごすことができました。転職活動の際、業種は絞らず大手サイトで検索していたところ偶然ノバレーゼを見つけ、接客を受けたときの思い出が蘇り、運命を感じました。フリーランスからの転職は厳しいものでしたが、それにも関わらず真摯に自分の想いを理解してくれた面接官の姿勢や、会社の考え方に感銘を受け、入社を決意しました。
入社後は、ドレスコーディネーターとしてドレスショップ「NOVARESE横浜」に配属され、現在は異動し、「NOVARESE銀座」にてスペシャリスト(専門性の高いスタッフに対する役職)として幅広くお客様の接客を担当させていただきながら、全国のスタッフの育成にも携わっています。仕事をする上で大切にしていることは、私たちは「商品」だけではなく、「思い出」も提供できる接客をすることです。来店予約から最終フィッティングまで、とことんお客様の立場になって寄り添いご要望に一歩踏み込んで提案し、想像以上の新しい自分と出会ってほしい。いつか結婚式を振り返ったときに、「このドレスをノバレーゼで選んでよかった」とお客様にとって人生が豊かになるような思い出を作れるように努めています。最近では新人スタッフの研修を任せてもらうこともあり、伝えることの難しさを痛感することもあります。どうしたらより興味をもって理解を深められるか、ときにはアイテムの歴史や豆知識をまじえるなどスタッフの理解度に合わせた指導方法を心掛けています。
以前、仕事がうまくいかないとき先輩に「できない理由を探すより、どうやったらできるかを考えることが大切」とアドバイスをいただき、凝り固まった考えから抜け出し救われたことがあります。ノバレーゼには何事も自分のことのように、納得いくまで一緒に考え向き合う仲間がいます。スタッフ全員が「すべてのお客様は自分のお客様でもある」という意識を持って仕事をしているからこそ、ひとりで仕事をやり遂げるのではなく、チームがひとつになって一組一組のお客様を幸せにすることができる環境だと思っています。ドレスショップは非日常的な空間のため、お客様は緊張しながらご来店されます。これからも心地良い空間で幸せな時間を過ごしていただくために、常にお客様目線で考え、ときには変わることも恐れず柔軟であり続けたいです。また、スタッフがいきいきと楽しく仕事ができることがお客様の幸せに繋がると考えています。よりよい店舗にするために先輩後輩関係なく発言ができたり、相談しあえる風通しのよい環境をつくる架け橋のような存在としてチームをサポートし、私も仲間とともにさらに成長していきたいです。
大学・専門学校のダブルスクール卒業後、10年間フリーランスのスタイリストとして、広告や雑誌、芸能界の仕事に携わる。2014年、ノバレーゼに中途入社。ドレスショップ「NOVARESE横浜」に配属となり、その後、旗艦店である「NOVARESE銀座」に異動し経験を積んだ後、再び横浜に戻る。これまでの実績が評価され、現在は「スペシャリスト」(専門性の高いスタッフに対する役職)に就任し、全国のスタッフに向けた勉強会や店舗スタッフの教育指導なども任されている。